第4回地球上どこでも10分で撮影、小型SAR衛星 社会課題解決にも活躍
村山知博
福岡市の中心部から車で30分ほど。宇宙ベンチャー「QPS研究所」の新たな人工衛星製造拠点を昨年12月に訪れた。4500平方メートルの平屋建ての建物の改装作業が急ピッチで進む。
小学校の教室ほどのクリーンルームで4基の衛星が組み立てられている。大きさは縦横1メートルほど。
このうち1基には、各種の電子機器が設置されつつあり、たくさんの電線がぶら下がっていた。これらを慎重に配線した後、本体を太陽電池パネルで覆い、送受信用のアンテナを取り付ける。
2基はカーボンファイバーの筒と六角形のアルミ基板の骨組みだけ。もう1基は試験のため別の場所に移されていた。
4基は小型のSAR(合成開口レーダー)衛星だ。
電波を地球に照射し、反射波の強弱をもとに地表との距離を計算して地形を画像化する。ハードウェア開発課長の福田大さん(33)は「光学式の衛星とは違い、雲があっても夜間でも地上を観測できるのが強み」と説明する。
2019年以降、試験機も含めて8号機まで打ち上げた。現在、うち2基が運用されている。製作中の4基は、今年中に打ち上げる予定だ。
28年5月までに計24基を…