古都税・景観…提言続けてきた京都仏教会、北陸新幹線延伸にも異論

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西崎啓太朗 武井風花

 京都仏教会は19日に府庁で西脇隆俊知事に手渡した申入書で、北陸新幹線の敦賀―新大阪延伸を「小浜・京都ルート」で進める現在の計画について「千年の愚行」と表現した。仏教会は、長大トンネルの建設によって地下水への悪影響などが懸念されると指摘。延伸計画は自然と人は「敬いながら共存すべきである」という仏教の教えからもかけ離れているとして、再考を強く求めている。

 申入書では延伸計画によって「豊かな水の恵みによって成り立っている京都が京都でなくなる」とも指摘した。酒造りや豆腐、和菓子、京料理などに生かされている京都の地下水の水位低下や枯渇、汚染などを懸念し、「トンネルによって京都の1200年の歴史と未来が揺らごうとしている」と記した。

 事業費が最大5・3兆円になるという試算や、トンネルの建設発生土への懸念も表明。京都市内では名刹の真下を通るルートが設定されているとし、「国宝、重要文化財への影響も大いに危惧され、京都仏教会として到底看過できるものではありません」と訴えた。

 申入書の文言は今年に入って理事会などで議論を重ね、まとめたという。京都仏教会常務理事の宮城泰年・聖護院門主(92)は「宗教界にとって水は重要な問題で、我々は子孫に対する責任を大いに感じないといけない。具体的な問題が出る前に多くの意見を聞いていただきたい」と話した。

 京都仏教会宗教と社会研究実践センターの主任研究員で、龍谷大の田中滋名誉教授は申入書の「千年の愚行」という言葉について「仏教の思想は、長いスパンで物事を考えるということを象徴している。京都は千年の都という意味も含まれている」とした。

「京都仏教会の影響力は大きい」との指摘も

 京都仏教会は、憲法が保障す…

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この記事を書いた人
西崎啓太朗
ネットワーク報道本部|大阪駐在
専門・関心分野
移民、難民、宗教、災害、中東地域