「増額」か「減額」か…生活保護費の見直し 大詰め議論は対立のまま
高絢実 編集委員・清川卓史
「最後のセーフティーネット」とされる生活保護費をめぐり、見直し議論が大詰めとなっている。利用者らは「物価」の高騰などから増額を訴える一方、財務省は「消費」の実態をもとに減額への布石を打つ。年末の予算編成を前に、主張は対立したままだ。
「食べ物がどんどん値上がりし、正規の値段で買えない」。4年ほど前から生活保護を利用する東京都の50代女性は、苦しい生活をこう訴える。
病気の治療や副作用のため仕事を続けることができず、ひと月7万円弱の生活保護費でやりくりする。故障したエアコンの修理費が工面できず、夏は室温30度以上の部屋で、ぬれたバスタオルを体に巻き付けて扇風機のみで耐える。熱中症で倒れたこともある。
「黙っていたら同じように……」
午後8時以降になると半額に…