鎌倉期の源氏物語写本 銚子の円福寺になぜ? 先々代住職の思いが今に

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根岸敦生

 千葉県銚子市の観音様として親しまれている飯沼山円福寺。寺に伝わる貴重な古典籍を見せる第18回寺宝展が11月16、17日に開かれた。今回は大河ドラマ「光る君へ」で注目された源氏物語をテーマにした展示。源氏物語の写本として鎌倉初期の貴重なものとされる円福寺蔵「源氏物語 幻」などが披露された。

 なぜ円福寺に稀覯(きこう)本が伝来したのか。

 現住職の平幡照正さん(57)の祖父で先々代住職の平幡照政師(1997年没)の存在があるとされている。

 裁判官を目指して京大に進んだものの、弟2人が戦死し、寺を継いだ照政師。本好きで、若いころから古典籍を買い集めていたとされている。

 照政師が出会ったのが、古書店・弘文荘を営んでいた故反町茂雄氏。戦後、旧家から流出した品々を鑑定し、次の持ち主につなげる役割を果たした。多くの古典籍を収蔵する奈良県の天理図書館の開館にも寄与した。

 1948年ごろから2人の取引が始まり、寺の文庫が充実していく。「幻」も収まった。

「竜宮城に来たような気分だった」

 この本を世に出したのが現住…

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この記事を書いた人
根岸敦生
千葉総局|銚子・旭地区担当
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大相撲、能狂言、地図