ウクライナの人口、30年で「2100万人減」 何が起きているのか

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聞き手・藤原学思
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 ロシアによる全面侵攻を受け、ウクライナの人口が著しく減っています。難民として国外へ出る市民が多いことなどが理由です。人口動態をめぐる現状と対策について、ウクライナ国立科学アカデミー人口学・社会学研究所のエラ・リバノワ所長に聞きました。

 ――正確な把握は難しいと思いますが、ウクライナにはいま、何人が暮らしているのでしょうか。

 我々は半年に1度、推計値を出していますが、今年半ばの時点で「3100万人」としています。

 ただ、これはウクライナ政府の支配下にある領土を対象にしたもので、ロシアに一時的に占領されている領土の人口は含まれていません。

 (1991年8月に独立した後の)1993年1月の時点で、ウクライナの人口は5200万人でした。それから比べると、大幅に減っていることがわかります。

 ――30年余りで、2100万人減ですね。

 前提として、ウクライナでは93年以降、人口の自然減が著しく、日本と同様に高齢化が進んできました。また、たとえばドイツのように自然減を移民で補うことはできず、逆にウクライナを離れる人たちが減少につながっていきました。

 2014年の人口は4500万人でした。ただ、この年を機に大幅に減りました。これは東部ドネツク州とクリミア半島という大規模の人口密集地、東部ルハンスク州という中規模の人口密集地の統制をウクライナが失ったからです。

合計特殊出生率は「1.0以…

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この記事を書いた人
藤原学思
ロンドン支局長
専門・関心分野
ウクライナ情勢、英国政治、偽情報、陰謀論
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    服部倫卓
    (北海道大学教授=ロシア・東欧)
    2024年11月19日12時0分 投稿
    【視点】

    ソ連崩壊後に、人口減が生じてきたことはロシアなども同じだが、今日のウクライナでは悪い条件が重なり過ぎている。 以前から国外での出稼ぎ労働は盛んだったが、今のような国情が続けば、外国に定住しようとする人が増えるかもしれない。 記事にもある出生

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    小熊英二
    (歴史社会学者)
    2024年11月19日12時0分 投稿
    【視点】

    ウクライナの場合は領土の喪失や戦争などの要因もあるが、旧社会主義圏は1990年代から人口減少が問題になっていた。 要因はいろいろあり、体制崩壊による社会的・心理的・経済的な問題、EU圏への人口移動、それらの総合としての出生率低下などが指摘

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