著作権トラブル「泣き寝入りしない」、フリーランス法を生かすには

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編集委員・沢路毅彦
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 フリーランスには、イラストレーターなど創造的な仕事で収入を得ている人もいます。そうした仕事で目立つトラブルが、著作権を巡る発注側との行き違いです。1日に施行されたフリーランス法は著作権トラブルの解消につながるのでしょうか。

制作後に7年やりとり「疲れました」

 「制作が終わってから7年も交渉して疲れました」。そう話すのは、神奈川県内に住むフリーランスのイラストレーター。著作権を巡る苦い経験だったと振り返る。発注側の言い分が二転三転したからだ。

 最初に仕事の依頼が入ったのは2015年秋。イラストのエージェントからだった。イラストレーターが、自分のHPに載せていた実績を見て依頼してきたという。

 依頼は、大手レジャー会社が発注元の広告の一部にイラストを使いたいという内容。広告全体を請け負う代理店が間に入っており、エージェントから届いた最初のメールには「著作権の譲渡は希望しない」とあった。

 イラストレーターは12月から制作にとりかかった。契約書は結ばれないまま、16年3月末にイラストは完成、納品した。

 すると夏になって、エージェントから「発注元が『著作権を譲渡してほしい』と言っている」と連絡があった。最初は断ったが、押し切られた。

 18年になると、今度は間に…

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この記事を書いた人
沢路毅彦
編集委員|労働
専門・関心分野
労働問題・雇用政策
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    首藤若菜
    (立教大学教授=労働経済学)
    2024年11月18日6時30分 投稿
    【視点】

    フリーランス新法ができました。発注事業者側に周知し、意識変革を促すことが重要であることは言うまでもありませんが、この記事にある通り、個人で仕事をしている方々は、どうしても立場が弱く、著作権をはじめ様々な契約において不利な立場に陥りやすい状況

    …続きを読む