バイデン政権の「不都合な真実」とリベラル覇権の終焉
政治部次長・園田耕司
米大統領選投開票日の前日、ワシントンに住む旧知の元民主党政権高官とオンラインで話していたときのことだ。民主党のハリス米副大統領を支援してきた元高官の表情にはすでに悲壮感が漂っていた。トランプ前米大統領が先日の集会で反ワクチンの陰謀論者として知られるロバート・F・ケネディ・ジュニア氏を米政府の公衆衛生部門の役職に就けると話したらしい、と元高官が教えてくれたとき、あまりのとっぴな話に私が噴き出すと、元高官は真剣な顔で怒った。「これは冗談じゃない。トランプが勝てば現実になるのだ」
米大統領選はトランプ氏が勝利した。ワシントン特派員として米国政治を取材してきた経験からトランプ氏支持の「MAGA(Make America Great Again)」運動の力強さを肌身で感じてきた私は、今回のトランプ氏の復権を予期していたものの、その圧勝ぶりは予想を上回るものだった。
■強まる米国社会の保守反動化…