漁村の神社にごちそう 江戸時代の地震伝える祭りが90年ぶりに復活

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原篤司

 近い将来起きるとされる南海トラフ巨大地震への備えが進む中、過去の自然災害やその教訓を伝承する重要性が注目されている。最大で高さ34メートルの津波が想定されている高知県黒潮町では、90年近く前に途絶えたとされる、江戸時代の巨大地震を語り継ぐ行事が再現された。

 「津波防災の日」の5日、土佐湾に面した集落にある黒潮町田野浦の白皇(しらおう)神社に、地元のお年寄りら約30人が集まった。

 ブルーシートの上に座り、炊き込みご飯のおにぎりやぼた餅を味わいながら催されたのは「大潮まつり」。170年前の1854(嘉永7)年に起きた安政南海地震の体験などを語り継ぐ「おこもり」とも呼ばれた行事で、昭和初期に途絶えたとされていた。

むしろの上でご飯 90代述懐

 マイクを向けられた女性(91)は、遠い日の記憶をたどりながら「おばあちゃんに『おこもりに行くよ』と言われてここに来て、むしろの上でご飯を食べた」と話した。

 母と一緒に来て赤飯を食べたと話す90代の女性もいた。

 安政南海地震は南海トラフ巨…

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この記事を書いた人
原篤司
高知総局
専門・関心分野
防災、司法、民主主義、漁業、起業、韓国文化