少数与党となった自民、公明両党と国民民主党の政調会長が5日、それぞれ国会内で会談した。「自公国」の政策協議が実質的に始まった形で、今後は国民民主が求める減税案などが焦点になる。政権運営の安定を優先する自公内では、国民民主に一定程度譲歩する考えが広がるものの、減税幅などで綱引きが予想される。
石破茂首相は5日午前の自民党役員会で、「公明党との連立政権を軸に、国民民主党などと政策協議を進めていただければ」と指示した。
自民の小野寺五典政調会長は同日、国民民主の浜口誠政調会長と会談。政府与党が進める経済対策の策定と今年度補正予算の編成に関して、週内にも両党で具体的な協議を始めることで一致した。自民はすでに「予算に反映できるものはしていく」(小野寺氏)と、国民民主に歩み寄る姿勢を鮮明にしている。浜口氏は公明の岡本三成政調会長とも会談し、協議を継続する方針を確認した。
「自公国」3党による協議の枠組みは、年末にかけて政府・与党がまとめる来年度予算案や税制改正大綱においても重要になりそうだ。5日の会談でも、各党の政調や税制調査会の間で議論を進めていくことを確認した。
税制改正で最大の焦点になるのが、国民民主が衆院選の公約にも掲げた所得税の課税対象基準の引き上げだ。国民民主は所得税がかかり始める「103万円の壁」を、178万円まで引き上げるよう求めている。
国民民主の要求をすべて受け入れた場合、8兆円規模の減税となるため、財務省を中心に慎重論が根強くある。高所得者の恩恵が大きいことを指摘する声もあり、制度変更は容易ではなさそうだ。
だが、少数与党となった自公に国民民主の要求を突っぱねる選択肢もない。首相は「バランスをどうするかの問題だ」と周囲に語っており、一定程度の水準まで引き上げを受け入れ、国民民主と合意を得たい考えだ。
政府・与党は14日に経済対…