第2回中高の「平等」が阻む配慮 東大教授が語るインクルーシブ教育の課題
改正障害者差別解消法が今年4月に施行され、障がい者への合理的配慮が私立の学校や大学にも義務づけられた。国連からも多様な子どもたちがともに学ぶインクルーシブ教育促進の勧告を受けた日本だが、なお配慮への壁が高い。全国の大学の障がい学生支援に詳しい、東京大学先端科学技術研究センター教授の近藤武夫さんに聞いた。
――日本の学校、特に中学、高校で合理的配慮やインクルーシブ教育が進まない現状に課題を感じていらっしゃいます。
2012年に文部科学相の諮問機関である中央教育審議会が「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」という報告書を出し、インクルーシブ教育に大きくかじを切りました。16年には障害者差別解消法が施行され、合理的配慮に取り組むことが国公立では義務に、私立では努力義務になった。それでも今も依然として、学校では1人だけ違う学び方をすることに不慣れで、消極的な状況があります。
小学校は学級担任制なので、担任や養護教諭に理解があって、他の児童と違う学び方も必要と認めれば、いろいろな合理的配慮が認められる例も増えています。ところが、中学から教科担任制になり、内申点や定期試験、高校入試もあるとなると、いきなり「平等」な序列化が、合理的配慮の実施を阻みます。だれが合理的配慮の判断や意思決定をして、責任を取るのかという問題が出てくる。担任が認めても、管理職や周囲の教員の理解がないと進みません。本当は特別支援教育コーディネーターや管理職などの役割が重要ですが、声をあげてくれない場合もある。
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- 【視点】
高校が入試難易度によって垂直的に序列化され(都市などの中高一貫校では中学段階から序列化され)、選抜・選抜の論理が支配している日本の中等教育においては、「インクルーシブ」な教育は容易に踏みにじられる。 減っていく子どもたちの全員を大事にするた
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