テキサス新幹線、国交省の官民ファンド丸抱え 着工せぬまま巨額損失

有料記事

大日向寛文
[PR]

 官民ファンド「海外交通・都市開発事業支援機構」(JOIN)が、米新幹線プロジェクトで不透明な対応を繰り返していた。民業補完に徹するルールの例外をもうけ、丸抱えで支援していた。さらに、出資先が債務不履行になっても、損失処理を先送りし続けてきた。この事業をめぐっては417億円もの損失が生じており、所管する国土交通省説明責任が問われる。

 この事業は、テキサス州のダラスとヒューストンを結ぶ高速鉄道を建設する。事業主体の米テキサス・セントラル社(TC)が、JR東海の新幹線をベースとした車両やシステムを導入する。

 不透明なのは、まず、2015年11月にJOINがTCへの支援を決めた経緯にある。

 官民ファンドは、あくまで日本企業が投資の主体で、それを補助することが大前提だ。国交省は14年にJOINを設立するにあたり、「我が国事業者との間で最大出資者にならない」とする投資基準を定めていた。

 ところが、国交省はTCへの支援を決める4カ月前に基準を改定し、「最大出資者となることが一時的であると認められる場合は、この限りでない」とする例外を追加。これをTCに適用し、「最大」どころか、日本企業の参画がないまま、JOINのみで出資を行うことにした。

すべてのリスク押しつけられる「異例の構図」

 国交省の説明では、テキサス…

この記事は有料記事です。残り1216文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【春トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら