「本当に終わるんだ」自由を願い続けた58年 袴田さんの姉秀子さん

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森下裕介 黒田早織
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 検察の控訴断念で、袴田巌(いわお)さん(88)の無罪が確定することになった。弟に58年ぶりの「真の自由」を、と願い続けた姉・秀子さん(91)は歓喜した。弁護団は、判決に不満を表明した「検事総長談話」を出した検察当局の姿勢に憤りをあらわにした。

 8日午後、秀子さんは浜松市にある自宅で、控訴断念の知らせを受けた。「特別に派手なものを選んだ」という明るい緑のジャケットに身を包み、静岡市での会見に駆けつけると、満面の笑みを浮かべてこう語った。

 「(裁判が)本当に終わるんだと思って、58年の苦労というか、そういうものがすっとんじゃったといいますか、喜びしかありません」

 「本当にお世話になりました。長い間、ありがとうございました」

 巌さんは、長い拘禁生活で精神を病み、意思疎通が難しい状態にある。この日も支援者と日課のドライブに出かけた。出発は、控訴断念の知らせが届く前だったという。

 秀子さんは、巌さんの様子を見て無罪判決が確定することを話すつもりでいる。「巌が死刑囚でなくなることがとてもうれしい」。会見ではそうも口にし、顔をほころばせた。

 昨年10月にあった再審の初…

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この記事を書いた人
森下裕介
東京社会部|裁判担当
専門・関心分野
司法、刑事政策、人権
黒田早織
東京社会部|裁判担当
専門・関心分野
司法、在日外国人、ジェンダー、精神医療・ケア
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