首相、世論反発受け「裏金議員」非公認へ 「もう修復不可能」怒りも

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 自民党の派閥裏金事件で問題になった議員の次期衆院選での公認をめぐり、石破茂首相(総裁)ら党執行部が厳しい対応に踏み切った。当初、首相は「裏金議員」の非公認に後ろ向きだったが、世論の強い反発を受けて決断。「寝耳に水」の決定でもあり、執行部と対象議員の対立は避けられない状況だ。

 6日午後2時すぎ、自民党本部。森山裕幹事長、小泉進次郎選挙対策委員長との協議を終え、非公認の対応を記者団に説明した首相が、こう力をこめた。

 「私はこれまで一貫して、政治資金の問題に対する国民の不信や怒りに対し、党としてきちんと対応することが必要だと申し上げてきた」

 だが9月27日の総裁選勝利から、党役員・閣僚人事、国会の首相指名、新内閣発足、所信表明演説など多忙を極めた首相が、「裏金議員」の公認問題と向き合う時間は十分ではなかった。この間、主に手続きを進めたのは森山氏ら執行部だ。

 森山氏は「地方組織の意向」…

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    牧原出
    (東京大学先端科学技術研究センター教授)
    2024年10月6日22時21分 投稿
    【視点】

    国民の裏金議員への怒りはすさまじいように見える。安倍派の裏金議員を抱えたまま自民党が総選挙に突入すると、選挙で裏金議員の落選によるダメージ以上に、大きく議席を減らす可能性があったのではないだろうか。誰が総裁でも、結局はこの選択をとらなければならなくなったのだと思われる。ただ、石破氏ほど、このような決定に適任な政治家は他にいない。そこがポイントである。 派閥なき自民党は、総裁の権限が圧倒的である。他の議員の不満があったとしても、これについていくしかないというのは、岸田政権末期の状況であった。ただし、首相・総裁がすべてを仕切るわけでもなく、官邸が強化のチームで政治を仕切ろうとしない限り、党機関の役割も大きくなる。それは各省が官邸から自立して、政調会部会と結びつくような動きにもなるだろう。 石破首相は、当初は融和的である意味消極的なリーダーとなるかと見えたが、ここへ来て大きな決断を下したことになる。党を仕切る森山幹事長が同調するかぎり、石破首相のイニシアティブは強くなる可能性もある。形だけの「刷新感」を示すに過ぎないかと見えた石破総裁とその政権は、次第に実質的な政権交代を果たすことになるかもしれない。総選挙の結果、党内に様々な亀裂も生まれるだろうが、安倍派の側が巻き返すとしても、裏金問題は政治倫理よりはカネの不正運用の問題である以上、当選した安倍派議員に対して国民の怒りがおさまることはないだろう。残った安倍派と共生する政権には、国民の収まることのない怒りが向くことも避けられない。そうだとすると、裏金議員を抱える限り、自民党には未来はないということになる。そうした局面を担うのは、やはり石破氏がふさわしい。 厳しく言えば安倍派を全部切り捨てることで党を刷新するという手段もありうるが、より穏当な方策としては、裏金議員がカネについてのけじめをカネでつける場を作ることができれば、その清算・再生も可能となるだろう。河野太郎氏が総裁選の中で不記載額全額国庫返済というのも一つの道だが、それで国民が納得するかは分からない。裏金議員への納得感のある裁定は、自民党自身ではなく、外部からなされるしかない。そうなると、第三者機関を早急に制度設計し、法施行よりも前倒しで設置し、その判断を仰ぐことが、迂遠のようだがより穏当な清算・再生の道であろう。党内の亀裂を修復するもっとも有効な方策はここにある。だが自民党議員が、それで納得できるかどうかもまた簡単ではない。総選挙後の自民党執行部にとっては、難しい判断を幾重にも迫られるだろう。

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