第3回台車と「ゼロ記録」にひび 新幹線初の重大インシデントで得た教訓

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高橋豪

東海道新幹線60年 #3

東海道新幹線が10月1日、運行開始から60年を迎えました。速度や乗り心地の「進化」の一方、リニア中央新幹線との共存や自然災害への対応といった新たな課題にも直面しています。東海道新幹線のいまを探ります。

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 列車が山陽新幹線博多駅を出た直後から、JR西日本の乗務員や乗客はいつもと違う音やにおいに気づいていた。運行は新大阪駅JR東海に引き継がれた。その後、出発時に「ギギ」と聞こえたとの報告を受けたJR東海側が、名古屋駅に保守担当社員を向かわせた。

 2017年12月11日の夕方。東海道新幹線名古屋駅に着いた「のぞみ」の車両が「カラカラ」という異音を発した。待ち構えていたJR東海の社員は車内に入ると焦げ臭さに気づいた。直ちに出発を見合わせて点検を始めた。

 その夜、13号車の車両を支える台車に亀裂が走っているのが見つかった。

 国の運輸安全委員会は、多数の死傷者が出る事故につながる特に危険な事象をさす「重大インシデント」と認定。運安委の前身、航空・鉄道事故調査委員会が発足した01年より後の話とはいえ、新幹線では初めてのことだった。

 東海道新幹線では、それまで…

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この記事を書いた人
高橋豪
経済部|名古屋駐在
専門・関心分野
モビリティー、インフラ、観光、中国語圏