道路40メートルにわたって陥没、市営住宅傾く 広島市が雨水管工事

【動画】広島市西区で起きた道路陥没事故=上田潤撮影、現場近くの久本商店提供
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 26日午前8時40分ごろ、広島市西区福島町2丁目の市道交差点の道路が陥没した。市などによると、南北約40メートル、東西約15メートルにわたって道路が深さ1メートルほど沈み、市営住宅など少なくとも8棟が傾いたり、壁がひび割れたりした。建物内に一時閉じ込められた住人もいたという。けが人は確認されていない。

 市によると、現場の地下約30メートルで雨水管を通す掘削工事の作業中だった。直径5メートルのトンネルをシールド機を使って掘り進めていたところ、作業員が異常な量の水が出ていることに気づいた。その直後に道路が陥没したという。

 市は、何らかの原因でトンネルと道路の間にあった土砂と水がトンネル内部に流れ込んだことで、陥没を引き起こした可能性があるとみている。この影響で地下約1.5メートルにある水道管が破損し、路上に水があふれたとみている。

 雨水管工事は市が発注し、清水建設などの共同企業体が受注していた。延長3.5キロの工事で、今年2月から掘削工事を始めていた。

 市は、さらなる陥没の恐れがあるとして陥没現場から半径50メートル内の地域に住む55世帯90人に避難を呼びかけるとともに、近くの小学校体育館に避難所を開設した。

 近くの住民によると、午前9時半ごろ、建物がきしむような音が聞こえたという。地震かと思っていたところ、救急車や消防車が到着。外に出ると、現場前にある事業所の従業員が外に避難しており、「建物が傾き、ドアが開かなくなり窓ガラスも割れた」と話していたという。

 陥没した道路に面した4階建てビルも傾き、中の事業所の従業員らが避難した。壁にヒビが入ってドアも開かなくなるなどの被害があるという。

 事業所の関係者によると、当時は2階の事務所に約30人、1階に約20人の従業員がおり、全員が避難した。

 事務所にいた従業員は「破裂するような音が複数回して、だんだん建物が傾きだした」と話していたという。

 現場近くに住む自営業の女性(61)は午前9時ごろ、家で「ピキピキ」という音を聞いた。外に出ると、玄関前の道路とその周りのアスファルトが瞬く間に浮き上がり、へこんだ地面から水がじわじわと出てきたという。女性は怖くなってスマホや財布を持たず、自宅から離れた場所に避難した。2階建ての自宅は道路側に傾いていた。「いつ帰れるのかわからん。どうしてこうなってしまったのか」と不安そうに話した。

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