プライドが許さなかった「ガチネパ」の誕生 トレンド最前線は日本に

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聞き手・山根祐作
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インネパ、そしてガチネパ 進化する味から見えるもの(下)

 ネパール人が経営するインド料理店「インネパ」が全国に広がる一方で、本格的なネパール料理店「ガチネパ」も近年現れてきました。インドやネパールの料理に詳しい小林真樹さんによると、当初は家庭料理が主体となるネパール料理では、レストランはやっていけないと考える人も多かったといいます。ガチネパはどのように生まれ、どう受け入れられていったのでしょうか。

 ――ガチネパが増えてきたのには、どういう背景があるのでしょうか。

 2010年代になってネパール人留学生が増え、ネパール人を相手にしても飲食店が成り立つ状況になってきたことが一番大きな理由です。

 15年のネパール大地震で産業が壊滅的な打撃を受け、多くの人たちが海外に出ざるを得なくなったという事情もありました。ネパールでは英語で教育を受ける機会が多いので、留学先としては欧米の人気が高いのですが、日本のほうがビザが取得しやすかったといいます。

 また、コックとして来日した人たちの一部で在職証明書偽造が見られたこともあってか、コックの技能ビザが一時発給されにくくなったということも影響したようです。

 ガチネパが受け入れられた背景には、日本人独特の「食への探究心」もあったと言います。日本人客と日々接する中で、日本のガチネパが世界のトレンドをリードし始めている様子も、記事後半で紹介します。

「そんなものを出しても売れるわけがない」

 ――ネパール料理にはどのような特徴がありますか。

 ネパール料理は家庭料理の延長線上にあると言えます。マトンやアヒル肉などをスパイスでマリネした「チョエラ」や干し肉の炒め物「スクティ」などが有名です。

 米飯が主食であり、おかずもそれに合うような味付けとなっているため、日本人にもなじみやすい味だと思います。また、「ロキシー」という、日本の焼酎に似た酒もあり、酒のさかなも日本人の口に合います。

 ネパールはインドとチベット…

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この記事を書いた人
山根祐作
国際報道部
専門・関心分野
国際情勢、日中関係、中国、在日外国人、語学