EU最高裁、アップルの「追徴税無効」一転 約2兆円の支払い命令

ブリュッセル=牛尾梓

 欧州連合(EU)の最高裁にあたる欧州司法裁判所は10日、米アップルに130億ユーロ(約2兆円)相当の追徴税を支払うよう命じた。追徴税を課す決定は無効とした下級審の判断を覆した。

 EUの行政を担う欧州委員会は2016年、アイルランド政府によるアップルへの法人税優遇策が「違法な補助金」であると指摘。「アップルは課税対象にならないペーパーカンパニーに収益を移し、14年の実質税率はわずか0・005%だった」として、アイルランド政府に追徴課税するよう指示していた。

 アップルやアイルランド政府はこれが無効だとして提訴。下級審は20年、EUの競争法に違反したことを示す十分な証拠がないとして、アップルの異議申し立てを支持し、追徴税を課す決定を無効とした。

 しかし、欧州司法裁は10日の判断で、「本社のある米国外での売り上げは、税務上、(ペーパーカンパニーでなく)アイルランドに割り当てられるべきだ」と指摘。同政府に130億ユーロ相当の追徴課税を指示し、欧州委の判断を支持した…

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この記事を書いた人
牛尾梓
欧州総局|欧州連合(EU)担当
専門・関心分野
国際政治、データジャーナリズム、AI、OSINT