収支データの蓄積、民間では限界 「先進」米国NPOは分析深化
現場へ! 見えないカネ④
「遅くとも十数年前、場合によっては20年以上前」。自民党の派閥で裏金づくりが始まった時期について、党の調査報告書はそう指摘した。
国民は、その説明が確かなのか確認できない。政治団体の収支が記された政治資金収支報告書は、国や都道府県が公開しているが、保存期間の3年が過ぎると廃棄し、ウェブサイトからも削除してしまうからだ。
状況を改善しようと、報告書をウェブ上で永続的に閲覧できるようにする取り組みを続けるのが、大阪市の公益財団法人政治資金センターだ。
創設者のひとりが、NHK出身のジャーナリスト立岩陽一郎(56)。2010~11年に留学した米国では、各地のNPOが連邦議会や州議会の議員の収支を見やすくデータベースにして公開していた。その元となるデータを議員から集めている連邦選挙委員会(FEC)は、NPOからの求めを受け入れる形でウェブでの公開内容を拡充していたという。「民間がやるだけでなく、それが連邦政府を動かしていた」と立岩は振り返る。
日本でも同じような試みをしたいと、関西の弁護士や研究者、公認会計士らと16年にセンターを立ち上げた。当時はウェブで報告書を公開している都道府県は少なかったため、各自治体に情報公開請求し、送られてきた報告書の山をスキャンしてデータ化した。
議員ごとに関係団体をまとめるなど工夫をしつつ、11年以降の報告書を公開。システムを見直しながらデータを蓄積し、メディアや一般市民に利用されている。
ただ、やれることは限られている。収入源がないため常勤スタッフは雇えず、活動はほぼ手弁当。自民党の裏金問題では「何の役にも立たなかった」と立岩は肩を落とす。
焦点となったのは各派閥の政…
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