「世間体で学生の未来は奪われた」日大前監督が語る正しい連帯責任は
聞き手 編集委員・中小路徹 榊原一生
日本大学アメリカンフットボール部員が違法薬物事件で逮捕されて1年が過ぎた。廃部となったいま、元部員らが「有志の会」として活動している。事件当時、監督だった中村敏英氏(51)が朝日新聞のインタビューに応じた。日大の一連の対応を「学生の正当な大学生活を阻害している」と批判する。
――監督に就任した2022年4月、部はどんな状態でしたか。
「すさんだ状態で何度も練習停止とし、ミーティングを繰り返しました。飲酒や喫煙が次々と発覚したからです。部員たちも『証拠がなければ立ち入れないだろう』と高をくくり、カバンを調べようとすれば『権利侵害だ』と言い出す状態でした」
――部内のルールは。
「部則は策定しました。飲酒、喫煙の禁止と違法薬物排除の徹底、それを目にした時の報告義務のほか、学業との両立へ向けた単位取得条件や、寮でのルールなどが定められたものです。ただ、罰則規定がなく、効力を発揮しない状態でした」
――どう対応しましたか。
「『1度目の違反は厳重注意…