日本語学校の留学生が最多「稼げない国」でも日本が選ばれる理由

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浅倉拓也
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 コロナ禍が落ち着き、日本に海外からの留学生が戻ってきている。特に日本語学校への留学生は過去最多になった。賃金の相対的な低下や弱い円のため「稼げない国」と言われるようになった日本だが、留学生の価値観は多様化し、大半が日本での進学や就職をめざしている。

稼ぐより日本でのんびり生活したい

 大阪市東成区の「えびす日本語学校」は今春、100人以上の新入生を迎えた。開校した2019年には2人だった留学生は、5年で約220人に増えた。

 同校で最も多いのは中国からの留学生だが、賃金の高い日本でアルバイトに明け暮れるようなかつてのイメージは様変わりしている。

 「お金を稼ぐより、のんびりと生活をしたい」。中国の高校を卒業して来日した張騰飛さん(19)は言う。「お金より好きなことを追求するのが人生だ」。アニメに関わることをしたいが「才能がないので」別の道を考えているという。いま住む場所に近い大阪府内の私立大への進学を希望している。

 別の中国人学生は、中国内のインターナショナルスクールに高校卒業まで通っていた。留学は親の希望でもあったが、コロナ禍もあって遠い米国へ行かせるのが不安になり、日本になったという。本人は「留学は良い学歴をつくるため。中国は競争が激しく、学歴が重要ですから」。

円安のおかげで学費が安くなった

 ベトナム出身の留学生も多い。ヴォ・ティ・トゥ-・チャーさん(29)は、技能実習生として奈良県の工場で働いた経験がある。帰国して、日系企業で通訳として働いていたが、日本の大学でマーケティングを勉強し、キャリアアップをめざすため再来日したという。

 日本語学校は学費だけで年間…

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この記事を書いた人
浅倉拓也
大阪社会部
専門・関心分野
移民、難民、外国人労働者
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    藤田結子
    (社会学者)
    2024年9月2日13時57分 投稿
    【視点】

    2010年代以降、外国人留学生の数が増加しています。アジアを中心に外国の若者が日本に留学や短期滞在しているのですが、記事によると日本語学校への留学生は過去最多になったということです。 中間層の留学や移住の目的は一般的に経済的な理由だけでは

    …続きを読む
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    鈴木一人
    (東京大学大学院教授・地経学研究所長)
    2024年9月3日1時33分 投稿
    【解説】

    日本は稼げない国だから人が集まらない、という命題に挑戦する記事。確かに、日本が優しく、のんびりしている国であるから、稼げなくても日本を目指すという人もいるだろう。しかし、稼ぎたいから移民するという人たちは、彼らをはるかに凌駕する数で存在する

    …続きを読む