「脱エンジン」のものづくり 2030年の車生産「半分EV」の覚悟

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伊藤裕香子

 エンジン車を支える素材や部品を主力とする大同特殊鋼と日本ガイシが、独自の技術による「新たなものづくり」を一段と加速させています。見据えているのは「脱エンジン」の時代です。両社のトップに聞きました。電気自動車(EV)に置き換わる時代の流れは、もう怖くありませんか?

大同特殊鋼・清水哲也社長 人口骨や半導体、船のエンジンも

 ――いま売り上げの6~7割は自動車向けで、エンジンや変速機向けの鋼材を多く生産しています。中期経営計画では「差別化で、脅威を機会に変える」を掲げました。EV化はやはり脅威ですか。

 「これまでつくってきたものを変えていくことには、リスクも伴いますから。ただ、手は打っているので、着々と進めていきます。世界の政権の方針などで、EV化の進展に読み切れない部分はありますが、中計は2030年に世界の自動車生産量の半分がEVになるのでは、このくらいは覚悟しなければ、との思いでつくりました」

 ――EV化を見据えて、何から取り組んでいますか。

 「動力源がモーターになっても、タイヤまで動力を伝える駆動系には特殊鋼が使われますし、乗り心地を左右するばねには高機能の素材が必要になります。快適でエネルギー効率のいい車になれば、結果的にお値打ちにもなる。エンジンや変速機がなくなっても、EV化で必要とされる特殊鋼をしっかりとらえ、売り上げにつなげていきます」

 ――車以外の分野では。

 「たとえば医療の分野では…

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この記事を書いた人
伊藤裕香子
編集委員
専門・関心分野
税財政、くらしと消費、地方経済