金の吉沢恋、いつも父の指導採点 「怒るだけは0点」高め合う関係性

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岩佐友
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 1年前、スケートボード女子ストリートの吉沢恋(ここ)(14)=ACT SB STORE=の父、功さん(58)は悩んでいた。

 「このままだと、恋はこれ以上の成長曲線を描けないのではないか」

 恋が7歳でスケートボードを始めてから、つきっきりで練習を指導してきた。経験があるスポーツは卓球。スケボーはない。でも、恋よりも自分がのめり込んだ。

 練習では動画を回し、体幹がブレていないか確認。野球で捕手用のプロテクターを身につけ、空中で恋の体を支えながら、回転技の練習をサポートした。

 練習に付き添うために、仕事は保育士から、時間の融通が利く介護職に転職した。

 恋のために。

 その一心だった。

 ただ、パリ・オリンピック(五輪)の予選が本格化する中で、気になることがあった。「こうしろ、ああしろ」と言うばかりで、恋の考えが聞けていない。

 五輪まで1年。限られた時間の中で急成長させるには、教え方を見直さなければいけないのでは。自問した結果、指導方針を変えた。

 毎日の練習が終わった後に反省会を行い、必ずこう尋ねるようにした。

 「今日の父ちゃんのコーチングは何点だった?」

 点数とともに、その理由を聞く。

 これまでの最低点は0点だ…

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この記事を書いた人
岩佐友
スポーツ部
専門・関心分野
サッカー、バレーボール
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    島沢優子
    (ジャーナリスト・チームコンサルタント)
    2024年7月30日23時13分 投稿
    【解説】

    コーチング採点を取り入れた「父ちゃん」が金メダルをアシストした。そのことがよくわかる記事でした。こうしろ、ああしろと言うばかりで娘の考えが聞けていない。このことに気づいただけでも素晴らしいです。拙書『スポーツ毒親』を書くための取材でたくさん

    …続きを読む
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    中川文如
    (朝日新聞コンテンツ編成本部次長)
    2024年7月29日10時42分 投稿
    【視点】

    「親としても娘の考えていることを聞くべきだと思う。子どもと一緒に成長していくためにも良かった」。父の功さんのこのマインドセットに感服してしまいました。特に「子どもと一緒に成長していくため」との一言に。 親→子の接し方って、その愛情が深けれ

    …続きを読む