「これが本当の将棋界の一番長い日」相次ぐ持将棋に生き字引も驚いた
佐藤圭司
大阪で将棋を担当している。非常に珍しい出来事に遭遇したので、ご報告したい。大阪市福島区の関西将棋会館で第83期将棋名人戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)C級2組順位戦2回戦のうち4局が指された2024年7月18日に端を発した出来事だ。
順位戦は名人戦の予選で、C級2組は五つある順位戦のクラスの中では一番下に位置する。とはいえ、どんな一流棋士でも皆、C級2組から出発するわけで、伸び盛りの若手や経験を積んだ中堅、ベテランも多い。参加棋士数も54人で、5クラス中、規模は最大で、好勝負の宝庫とも言える。
この日、大阪での4局のうち、記者が注目していたのは、今期から順位戦に初参加している宮嶋健太四段(24)の対局で、対戦相手は狩山幹生四段(22)。狩山四段は6月27日の棋王戦でA級棋士の永瀬拓矢九段(31)を持将棋(じしょうぎ)指し直しの末に破り、周囲からの評価を、また高めた感がある関西の若手。どちらも開幕戦を制して1勝0敗で、言わば「勝ち組」同士の対戦でもある。
関西将棋会館5階に三つある…