小選挙区制が招いた政治の劣化 田中秀征さん語る「中選挙区連記制」
自民党派閥の裏金事件が起きても、政治家たちの動きは鈍い。1993年に非自民連立の細川護熙内閣で首相特別補佐を務めた元新党さきがけ代表代行の田中秀征さんは、小選挙区制の下での政治の劣化をどう見るのか。「中選挙区連記制」の導入を提唱する田中さんに聞いた。
――裏金事件への対応の鈍さもあって、政権や自民党の支持率が下がっています。
「岸田文雄首相はこの問題の全容解明もせず、唐突に派閥解消を唱えたり、不公平感のある処分をしたりしました。医療にたとえれば、精密な検査もしないで外科手術をしたようなずさんな対応で、党内から不満が出るのも当然でしょう。政治資金規正法の改正も小手先で、抜本改革には踏み込んでいません」
「有権者は、政治家がいう『政治にはカネがかかる』という言い訳を安易に受け入れてはいけません。なぜ政治家がカネを集めるかといえば、カネのかかる政治をしているからです。たとえば結婚式や葬儀への慶弔電報や、高価な飲食への政治資金の使用を禁じれば、相当のカネを減らすことができます」
岸田首相は選挙制度改革に身を捨てる覚悟を
――岸田首相は続投に意欲を示しています。
「岸田氏が取るべき道は二つしかありません。裏金問題の責任をとって退陣するか、政治の劣化を招いた制度の抜本改革を主導するか。私は、衆院の小選挙区制をやめる選挙制度改革に着手すべきだと思います。国民の政治不信が極度に高まっている今を逃せば、この先何年も抜本改革はできなくなる。裏金問題にみられる政治の劣化の主因は小選挙区制にあり、その改革のためにこそ首相は身を捨てるべきです」
――小選挙区制に替わって、どんな制度を考えていますか。
「私は『中選挙区連記制』が…