世界に1.2億人の難民、対応のヒントは UNHCR駐日代表に聞く

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聞き手・村上友里

 20日は国連が定めた「世界難民の日」。紛争や迫害によって故郷を追われた人は増え続け、5月に過去最多の推計1億2千万人に達した。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の伊藤礼樹・駐日代表に、難民をめぐる情勢と対応のヒントを聞いた。

 ――UNHCRが13日に公表した2023年の難民の状況をまとめた報告書では、スーダンの人道危機が強調されていました。

 スーダンでは23年4月に国軍と準軍事組織「即応支援部隊」(RSF)の戦闘が始まり、国内避難民の数は世界最多の約910万人となりました。

 グランディ国連難民高等弁務官は今年5月、国連安全保障理事会で声明を出し、安保理で紛争解決の道筋をつけられていないことや、スーダンでの難民支援に必要な活動資金が1割以下しか集まっていない現状を強く訴えました。

 スーダンからは隣国のチャドに多くの人が逃れています。チャドは政治・経済的にも脆弱(ぜいじゃく)で気候変動の影響も受けやすく、難民の流入が情勢の不安定化につながることを危惧しています。チャドのように世界で難民を受け入れている国の約75%は低中所得の国なのです。

 ――今回の報告書では、北アフリカから地中海をわたって欧州を目指す人たちのルートも分析されていました。

 多くの国が、人の移動を止めるため短期的な視点で対策をとろうとする動きがあります。私たちは人の動きを一つの流れとして見るよう各国にお願いしています。

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この記事を書いた人
村上友里
国際報道部
専門・関心分野
難民移民、人権、司法