世界で急増する難民申請者 欧州を悩ますコスト、日本は予算乏しく

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浅倉拓也

 6月20日は世界難民の日。迫害や紛争で国外へ逃れる人は世界で急増し、欧州では難民申請者を支える負担に反発も広がる。日本でも入管難民法の改正で難民申請のルールが厳しくなっているが、誰もが最低限の生活を保障される欧州各国とは異なる課題がある。

 英国は今年、難民申請者の一部を東アフリカのルワンダへ移送することを決め、国内外で物議をかもした。背景にあるのはコストの増大だ。難民申請者が国内にいる間の生活は法的に保障されており、国の2023年の支出は住居費だけで総額約25億ポンド(約5千億円)に上る。

 同様に最低限の衣食住を保障するドイツでも、公的な施設や住居で暮らす難民申請者は22年末時点で約48万人に上り、政治課題になっている。

 日本もコロナ禍が収束した昨年は難民申請者が急増した。日本には生活に困窮した難民申請者に対し、外務省が「保護費」を支給する制度がある。政府は「国際的な道義的責任」としているが、予算は乏しい。難民申請者は22年末時点で1万人余りいるのに対し、受給しているのは毎年おおむね300人台で、総額も年1億円前後だ。

 保護費のうち、これまでウクライナ避難者への支給額の3分の2だった「生活費」は今年度から同額の1日2400円(単身の場合)に上がった。だが、その分「住居費」が月2万円減って4万円(同)になった。

 NPO「難民支援協会」の担当者によると、在留資格や収入が不安定な難民申請者が入居できる物件は限られる。「敷金や礼金も考えると、東京で4万円以下の物件を探すのは本当に難しい」という。

 今月、関東の郊外にある古い…

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この記事を書いた人
浅倉拓也
大阪社会部
専門・関心分野
移民、難民、外国人労働者
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    小林恭子
    (在英ジャーナリスト)
    2024年6月20日15時22分 投稿
    【視点】

    筆者は英国に住んでいますが、欧州でも難民・移民の到来が問題視されてきました。特に、2015年、大量の難民・移民が流入したことが大きな要因となりました。 2015年当時、ドイツでは、100万人規模で受け入れ、太っ腹なところを見せました。国内

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