物価高騰しても動かない物価の番人 一度掲げた2%目標に取り付かれ
なぜ米国や欧州の中央銀行は金融引き締めができたのに、日本銀行にはできないのか。
超円安と物価高が続くなか、「物価の番人」としての機能を果たし、追加利上げできるのかどうかが注目されていた日銀の金融政策決定会合(年8回開催、メンバーは総裁以下9人)。14日の会合では、4月に続いて利上げが見送られた。日銀は、国債買い入れのペースを落とす具体的な計画を次回会合で決める方針を示したものの、正常化に向けた歩は鈍い。
米欧より2年遅れのゼロ金利解除
日銀と他の主要中央銀行との物価高への政策対応のスピードはどれほど違うか。2020年からのコロナ危機下では、米欧も日銀と同じように超金融緩和を推し進めた。だがウクライナ・ショックで世界的な物価高騰が始まった2022年前半から局面は変わった。各中央銀行ともインフレ対策へかじを切り、猛然と引き締めを始めたのだ。
引き締め局面では最終的に、米国FRB(連邦準備制度理事会)が5・25~5・50%、ユーロ圏のECB(欧州中央銀行)が4・5%、英国BOE(イングランド銀行)は5・25%まで政策金利を引き上げた。
一方、日銀はようやく今年3月会合でマイナス金利を解除し、長期金利をコントロールするという異形の政策を終了して、超緩和局面を終えたばかりだ。政策金利はいまだ0~0・1%と、「ゼロ金利」状態にとどまっている。
「ゼロ金利」解除のタイミン…
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