研究者にとって「データ」とは何か? 阪大処分に見解の相違

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永井靖二
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 研究者にとって、「データ」とは何を指すのか――。大阪大学が3月に発表した懲戒処分をめぐり、そんな議論が関係者の間で繰り広げられている。名誉教授のある不正行為に対する見解の相違が発端だ。

 不正を認定されたのは、大阪大の名誉教授(中国史)と立命館大の元講師(同)。2017年に出版した論文集に掲載した文献の写真が、もとの所有者から事前の了解を得ていないとして「データの盗用」とされた。文部科学省が14年に定めたガイドラインでは、盗用は、捏造(ねつぞう)、改竄(かいざん)と並ぶ重大な「特定不正行為」と位置づけられている。

 立命館大が阪大の協力を受けて21年7月にまとめた報告書によれば、この事案は16年3月、博士課程で指導を受けた研究者が、名誉教授のもとに当時未公表だった中国の1950年代初頭の土地取引の文献を持ち込んだことに端を発する。名誉教授は文献を預かって写真を撮影する了承を得た。そして、同じく指導学生だった元講師が論文を執筆した際、この文献を使うよう指導し、2017年2月に出版された論文集に掲載させたという。

 文献は研究者が00年、北京…

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この記事を書いた人
永井靖二
大阪社会部|災害担当
専門・関心分野
近現代史、原発、調査報道