通信を監視する「能動的サイバー防御」は必要か 専門家の見方

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聞き手・松山紫乃 聞き手・千葉卓朗

 サイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御(アクティブ・サイバー・ディフェンス)」導入に向け、政府の有識者会議の議論が始まった。政府は法整備を急ぐが、憲法21条が保障する「通信の秘密」との整合性など論点は多い。法整備はなぜ必要なのか、どんな課題があるのか。専門家に聞いた。

■大澤淳・中曽根康弘世界平和研究所主任研究員

 サイバー空間における脅威は一段と増している。最近は、企業内のネットワークとインターネットをつなぐ境目を狙う「ネットワーク貫通型」と呼ばれる攻撃が頻発している。昨年7月に発生した名古屋港のシステムへのサイバー攻撃では、日本を代表する貿易港で貨物船へのコンテナの搬出入が3日間停止した。

 これまで日本のサイバー防御は「お城を守る感覚」で、塀を高くして門番を置き、侵入してきたものを捕まえるという受動的な態勢だったが、それでは対応できない。能動的サイバー防御を急いで導入する必要がある。

 一番のハードルは憲法21条が保障する「通信の秘密」との整合性だ。今年2月の内閣法制局長官の「公共の福祉の観点から必要やむを得ない限度において一定の制約に服すべき場合がある」という国会答弁は法整備の根拠になるのではないか。

 また、憲法は日本国民の権利…

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この記事を書いた人
松山紫乃
政治部|外務省担当
専門・関心分野
外交、国内政治、ジェンダー、若者