X線では「見えない骨折」AIが発見へ 病院直結の工学研究所が論文

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宮沢崇志
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 2022年に開院した兵庫県立はりま姫路総合医療センター(姫路市、愛称「はり姫」)の敷地内には、県立大先端医療工学研究所がある。この研究所が「総合病院直結」という強みを生かし、研究の成果を上げている。

 今年4月、国際学術雑誌のオンライン版にある論文が掲載された。「3次元画像を用いた革新的な画像AI技術により骨盤X線の骨折診断性能を向上」。AIを活用し、発見が難しい骨粗鬆症(こつそしょうしょう)による骨盤骨折をX線画像から見つける技術で、臨床現場で医師をサポートする活用が期待される。筆頭著者は、バングラデシュからの留学生で県立大博士課程のラシェドーラ・ラーマンさんが務めた。

 高齢者の骨盤骨折は、患部を輪切り状に撮影するCT画像を見れば、ほぼ確認できる。だが、高齢者が最初に診察を受けるかかりつけの医院などにはCT撮影の機器が整備されていないことも多い。医師がX線画像を見て骨盤骨折を見落としたり、別の疾患が痛みの原因と診断したりする可能性がある。今回の研究成果を活用すれば、初診の段階で「見えない骨折」を発見できると期待される。

 研究の難点は、X線画像では発見困難な「見えない骨折」をいかにAIに学習させるかという部分にあった。そこで、「はり姫」の整形外科医も加わった研究チームは、臨床現場から提供されたCT画像を活用。このCT画像の3次元データから疑似的なX線画像を生成し、この画像を「見えない骨折箇所があるX線画像」として学習させた。

 ラーマンさんは16年にアジ…

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宮沢崇志
松山総局
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