作るほど赤字 でもやめられず(3・11その時そして)イカ王子⑥
東野真和
「イカ王子」こと鈴木良太さん(42)が実質経営する共和水産の仕入れ材料のうち、圧倒的に多くを占めていたのはイカだ。それが、東日本大震災以降、だんだんとれなくなっていた。これまでも豊漁、不漁の波があったが、この10年以上、回復に向かうことはなかった。
岩手県では、震災前の2010年に1万4千トン以上を水揚げたが、22年には8割減の2700トンまで落ちこんだ。
1キロ400円くらいだったイカの仕入れ値は、1千円を超えた。そこに電気代の値上がりなどがのしかかった。
共和水産の売り上げの85%…