「養育費」差し押さえしやすく 新制度案が国会審議 自治体の模索も

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久保田一道 寺島笑花
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 母子世帯の貧困の要因の一つといわれる養育費の不払い解消をめざし、請求や財産の差し押さえをしやすくする新制度が今国会で審議中だ。当事者と接する機会の多い自治体の模索も続いている。

 「理科や数学の研究、探究がしたいという目標を諦めずにすんだ。お金が無かったら厳しかった」。4月20日にあった養育費について考えるオンラインイベントで、10歳で両親が離婚し、母親と同居してきた男子大学生(19)は養育費を母親に渡してきた父親への感謝を口にした。イベントを主催した、離婚後の家庭を支援する「おやこリンクサービス」の新川てるえ理事長は、別居親からの養育費の存在を子どもに伝えることで、「『愛されている』という実感につながる」と意義を語った。

父母間での取り決めなしでも請求可能に

 2022年版の男女共同参画白書によると、大半が母子世帯のひとり親世帯の貧困率は48.3%で、経済協力開発機構(OECD)加盟36カ国中、下から2番目。要因に挙げられるのが養育費の不払いだ。21年度の国の「全国ひとり親世帯等調査」で、離婚を経た母子世帯のうち養育費を「受けている」と回答したのは28.1%だけだった。

 国会で審議中の民法などの改正案には、養育費を確保しやすくする仕組みが盛り込まれた。

 対象の一つが、養育費の支払…

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この記事を書いた人
久保田一道
東京社会部
専門・関心分野
法制度、司法、外国人労働者、人口減少
寺島笑花
ネットワーク報道本部
専門・関心分野
社会福祉、平和