「辞めたいのに辞められない」頼った退職代行 連休明け、増える相談

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上地一姫
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 「対面のコミュニケーションは向いていないので辞めさせてください」

 東京都内のウェブ関連会社で働いていた男性(22)は4月10日、上司に伝えた。大学を卒業し、4月に入社したばかりだった。

 3社から内定をもらい、「ウェブマーケティングに関わりたい」と選んだ。人前で発言することが苦手で、緊張しやすいことを入社前に繰り返し伝えていた。だが、配属されたのは「避けてほしい」と伝えたはずの営業職。「やるしかない」と自分に言い聞かせたが、上司と営業先を回っても、人の目を見て話せない。「社会人の基本ができていない」。思い詰め、眠れなくなった。通勤しようとしても、足が重くて電車に乗れなくなった。

 辞めたいと伝えれば認められると思っていたが、返ってきたのは想定外の反応だった。

安くはないが「払う価値はある」

 「向いているかどうかはわからない。辞めるタイミングではないと思う」

 不調を抱えながら、翌日も出社。「一つの会社に最低でも3年」。そんな言葉がよぎった。いま辞めれば、転職に不利になる。でも辞めたい。また引き留められたら――。

 限界に達したその週末、スマートフォンで検索し、退職代行業者にメッセージを送った。

 月曜日の朝、自宅にいると電…

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この記事を書いた人
上地一姫
東京社会部
専門・関心分野
沖縄・平和
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    常見陽平
    (千葉商科大学准教授・働き方評論家)
    2024年5月13日6時48分 投稿
    【視点】

    ■退職代行問題の向こう側 職業選択の自由を守れ  このサービスが存在すること自体に、日本の労働社会の特徴や課題が浮き彫りになっている。私たちには「退職の自由」がある。しかし、人手・人材不足もあり、強く慰留される。その慰留のノウハウも心理学的

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    首藤若菜
    (立教大学教授=労働経済学)
    2024年5月13日9時22分 投稿
    【視点】

    若い人が短期間で離職する傾向が高まっている、と言われます。しかし、厚生労働省が発表している「就職後3年以内離職率」をみるかぎり、新卒で就職した会社を3年以内に離職する割合は、増加していません。 3年以内離職率は、かつて「七五三」と呼ばれて

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