記者の命奪った銃弾「私たちの心に刺さったまま」 青空表現市が終幕

真常法彦
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 朝日新聞阪神支局襲撃事件を機に市民有志が始めた「青空表現市」が3日、兵庫県尼崎市内で最終回を迎え、100人を超える市民らが参加した。いつも会場にしていた阪神尼崎駅前の広場が改修工事で使えず、最終回はホールで開催した。

 今回はパレスチナ問題をテーマにした演劇や川柳を通し、自由にものが言える社会の大切さについて語り合った。

 青空表現市のメンバーの多くは、殺害された小尻知博記者(当時29)から取材を受けた人たち。

 事件翌年の1988年からこれまで、表現の自由の大切さを訴えてきたが、メンバーの高齢化が進み今年が最後の開催となった。

 実行委員会メンバーの金成日さん(72)は「青空表現市らしい、にぎやかな最終回になった。今後はメンバーがそれぞれの形で思いを表現していけたら」と話した。

 会場で配られたあいさつ文には、こう記されていた。

 「形は変わっても、5月3日に小尻さんを思い、この日に1年を振り返ることはいつまでも続けていこうと思います。あの日、暴力で言葉を封じ込めようとして、記者の体にうち込まれた散弾銃の弾が、私たちの心に刺さったままだからです」(真常法彦)

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