知床岬に太陽光パネル群 世界自然遺産の「秘境の地」になぜ?

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奈良山雅俊

 世界自然遺産・知床の「核心部」といわれる知床岬に太陽光パネル群が設置される。新設される携帯電話の基地局の電源設備だ。背景には小型船の沈没事故があるが、すでに携帯電話は旅客船の安全対策から除外されており、「違和感」を口にする人もいる。工事は5月に始まる。

 知床岬は海岸線の内陸部が草原の台地で、背後の森林東側の中腹に知床岬灯台、西側に漁港の「文吉湾」がある。

 関係者によると、計画では灯台の壁面にアンテナ、文吉湾の高台に無線設備、この間の山際に太陽光パネル群を置く。アンテナも、太陽光パネルなどを隠すフェンスの色や高さも景観に配慮し、ケーブルや電線は土中に敷設する。太陽光パネル群の敷地は約80メートル四方と、サッカーコート並みだ。

 2年前の小型旅客船「KAZUⅠ(カズワン)」の沈没現場は文吉湾の近くで、船長のKDDI(au)の携帯電話はつながらず、海難事故を知らせる118番通報が遅れた。これを受け、総務省は昨年4月末、関係省庁や道、地元自治体などからなる通信基盤強化連携推進会議を開き、知床での携帯電話の不感地域解消に動き出した。

 事業にはKDDI、NTTド…

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