次にどう備える? コロナ論文で活躍した東大教授、高校生に本を寄贈

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瀬川茂子
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 パンデミックは必ず再び起こる――。新たな病原体が出てきた時に、いち早く解析して社会に情報を発信していく。そう決意を語る東京大医科学研究所の佐藤佳教授(42)は、新型コロナウイルス研究の実績をもとに、次の時代を見つめている。

 東大医科学研究所を見学で訪れた高校生が佐藤さんを囲んでいた。

 「コロナは根絶できますか」「ウイルスの変異は予測できますか」

 寄せられる質問に、根絶や予測が難しい理由、科学的にわかってきたこと、わからないことを説明する。

 「大学の先生がみな正しいことを言うとは限りません。肩書ではなく、その人が何を知って、何を根拠に話をしているのか考えてみて」

 淡々とした口調だが、新型コロナウイルスの変異株の特徴を明らかにし、次々と論文を発表してきた自負がにじむ。

 2020年春。新型コロナウイルスが、世界中で猛威をふるい、社会に不安が広がっていた。東大で准教授として研究室を立ち上げてまだ2年。コロナウイルスの研究をしたことはなかった。だが、それまでエイズウイルス(HIV)の研究で身につけた技術で貢献できることがあるはずだと考えた。

 「ウイルス学者として何かできることはないのか」。決断すると、新型コロナの特定の遺伝子に注目して、その性質を解明する戦略を立てた。新しい研究は準備だけで1年かかることもあるが、急ピッチで進め、年内に2本の論文を発表した。

日本発の論文少ない状況変えるには……

 だが、それで満足するわけに…

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