ロシア頼みの原発核燃料市場、「制裁の抜け穴」に 動き出した日米欧

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福地慶太郎

 原発の核燃料のロシア依存を脱却しようと、欧米や日本が動き始めている。ロシアは核燃料の製造に必要なウラン濃縮のシェアで世界トップ。ウクライナ侵攻後も欧米は核燃料をロシアに頼っている。専門家は「経済制裁の抜け穴。エネルギー安全保障の面でも問題だ」と指摘する。

 「ロシアの影響力を排除し、強靱(きょうじん)なウラン供給市場を確立することを決意する」

 日米とイギリス、フランス、カナダの5カ国は、昨年12月の国連気候変動会議(COP28)で共同声明を発表した。今後3年間で5カ国のウラン濃縮・転換能力に少なくとも42億ドル(約6500億円)を官民で投資するという。

 5カ国は昨年4月、札幌市で開かれた主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合の際、「脱ロシア」を進めるための核燃料供給で協力していくことで合意。この枠組みは会合の開催地にちなみ「サッポロ5」と呼ばれている。

ロシア企業、ウクライナ侵攻後も収益3割アップ

 背景にあるのは、原発核燃料の市場におけるロシアの圧倒的な強さだ。

 天然ウランには、核分裂を起…

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    服部倫卓
    (北海道大学教授=ロシア・東欧)
    2024年5月6日11時18分 投稿
    【視点】

    ご参考までに、先日、ロシア国営のノーヴォスチ通信が、2023年にロシアから濃縮ウランを輸入した主要国について伝えていた(ロシア自身は貿易統計を開示していないので、貿易相手国の輸入量から見たミラーデータ)。これによると、2023年の主要国の輸

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