「寛容の国」インドで見た衝突の引き金 「ひっそりと暮らすしか…」
ヌー〈ハリヤナ州〉=石原孝
経済成長が期待されるインドにも不安材料はある。その一つが、異なる宗教間の分断や衝突だ。
日本企業の進出が最も多いハリヤナ州。昨年7月、与党インド人民党(BJP)を支えるヒンドゥー教の組織「世界ヒンドゥー協会(VHP)」がヌー地区で、儀式を執り行った際、参加者がイスラム教徒の集団から暴行される事件が起きた。
顔をスカーフで隠した暴徒が棒を振り回したり、石を投げたりするのを目撃したグプタさん(34)は、自宅前に止めていた乗用車を岩で破壊された。
「外に出れば、命はなかった」と話す。
治安関係者などによると、約2千人の暴徒の一部は地元の警察署も襲い、路上の車に火を放った。約30キロ離れた、日本企業が多く集まるグルガオン地区のモスクも放火され、治安関係者やヒンドゥー教徒とイスラム教徒ら計6人が死亡し、約90人が負傷した。
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