倉敷市長選 現職の伊東香織氏が無投票で5選「防災ソフト対策推進」

小沢邦男
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 岡山県倉敷市長選が14日に告示され、無所属現職の伊東香織氏(57)=自民、立憲、公明、国民、社民推薦=のほかに立候補の届け出がなく、無投票で5選が決まった。1967年の倉敷・児島・玉島の旧3市合併以降、市長選の無投票は初。自らによる同市長選の最多当選回数を更新した。

 14日朝、伊東氏は2018年の西日本豪雨で被災した倉敷市真備町内で選挙運動をスタート。約300人の支援者らに見送られて遊説に出た。夕方、ホテルで開いていた決起集会の最中に、当選の一報が入ると、会場は拍手と歓声にわいた。伊東氏は5期目に向け「地域のみなさんとともに、引き続き災害に強いまちづくりを進める」と語った。

 4期目は豪雨被害の翌年に策定した、真備地区復興計画の推進期間と重なった。最大9千人余が身を寄せた仮設住宅は、この間に入居ゼロに。高梁川と小田川の合流地点の付け替え工事を中心とした、国、県、市による緊急治水プロジェクトは今年3月に完了。ほぼ復興計画通りにハード面での対策を終えた。

 事業の最終段階を見届けるタイミングで、伊東氏は2月の市議会で5選を目指すと表明。「市民と遂げた豪雨からの復興の経験を、市全体のまちづくりにつなげたい」と述べていた。今後はソフト面へと支援の軸足を移し、住民主体の防災計画策定の促進や防災教育の強化などを進めるとする。

 前回も無投票ムードが高まったが、告示直前に別の候補が出馬を表明し、一転選挙戦に。今回、3月の立候補予定者説明会には伊東氏の陣営のほかに2陣営も出席していたが、いずれも出馬には至らなかった。

 伊東氏は、1期目から力を注いできた子育て環境の充実や健康長寿を促進するまちづくり、昨春の市内2度目となったG7主要7カ国)大臣会合の開催などを実績として強調。未来に向けた持続可能なまちづくりを進めると公約に掲げていた。(小沢邦男)

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 伊東香織氏が無投票で5選を果たした。初当選は現職(当時)との激戦の末だったが、2回目の選挙以降は対立候補に圧勝し、当選を重ねた。3、4期目の市政運営では西日本豪雨からの復旧復興に力を費やした。被災者の生活再建や公共施設の再開といった「見える成果」をあげ続け、批判らしい批判は聞こえてこない。

 多選への疑問視はどの首長選でも避けられないが、伊東氏は「市民や議会がどう思ってくれているかが大切」。背中を押す声があったからこその5期目と意に介さない。

 自身にマンネリ化はないのだろうかとの問いにも「豪雨やコロナなどへの対応に、これまでは息つく暇もなかった。その時々に大きな課題はある」。今後の豪雨対応はソフト対策に移る。子育て施策のさらなる充実にも迫られる。モチベーションに衰えはないと強調する。

 ただ、伊東氏が「自分の主張をマイクを通して訴えられる貴重な7日間」としていた選挙期間は、無投票により14日の1日だけとなった。得票という「通知表」がない中で迎える5期目。批判や異論を耳にせぬまま、市民の訴えに感度良く市政を進めなければならない。その意味では、これまで以上に責任が重い4年となる。

 コロナ禍で打撃を受けた美観地区をはじめとする観光再生、更新時期を相次いで迎える公共施設の再編なども控える。これら施策をどのように、まちづくりに結びつけるのかも問われる。(小沢邦男)

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 倉敷市議補選(被選挙数2)も告示され、新顔7人が立候補し、選挙戦に入った。党派別では参政が1人、ほかは無所属。投開票は21日。期日前投票は20日までの午前8時半~午後8時、市役所のほか7支所で。18日まではイオンモール倉敷でも投票できる(午前10時~午後8時)。21日午後9時15分から同市福田町古新田の市水島緑地福田公園体育館で即日開票される。13日現在の選挙人名簿登録者数は39万2723人。(小沢邦男)

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