岸田首相が高揚した訪米 「蜜月」演出に漂う「日米一体化」のリスク

有料記事岸田政権

西村圭史 高橋杏璃 ワシントン=清宮涼
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 岸田文雄首相は一連の訪米で「日本は米国のグローバル・パートナー」だと訴え、「日本は米国と共にある」と強調した。首相には「内向き」志向が懸念される米国を東アジアに引き留める狙いがあったが、日米の一体化が限りなく深化する中、日本は米国の対中抑止戦略にさらに強固に組み入れられるという側面も否定できない。

 米国滞在中、首相の表情は、国内では見られないような笑顔に満ちていた。会談前日、首相はバイデン米大統領夫婦に夕食会に招待され、「ビースト(野獣)」と呼ばれる大統領専用リムジンに同乗。「フミオ」「ジョー」と呼び合う両氏はX(旧ツイッター)で満面の笑みで顔を寄せ合う写真をそれぞれ投稿。首相は米議会演説で総立ちの拍手に包まれ、演説後は「米国全体にとどまらず、世界へのメッセージになった」と高揚した様子で周囲に語った。

 首相が「日本は米国と共にある」と前のめりと言えるほど米国との共同歩調を強調したのは、トランプ前大統領の復権とともに「内向き」志向が米国内で強まることを警戒し、先手を打って日本が米国の負担の肩代わりをする決意を示し、米国を東アジアに引き留める狙いがあった。

 しかし、首相の「日本は米国…

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