実は「抑制的」だったイランの攻撃とその狙い テヘラン支局長解説

有料記事イスラエル・パレスチナ問題

テヘラン=佐藤達弥
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 中東の地域大国イランが14日未明、長年敵対してきたイスラエルドローン無人機)やミサイルを発射した。要人暗殺などの「影の戦争」と呼ばれる状態を続けてきた両国だが、イランがイスラエル領を直接攻撃するのは初めての事態だ。イスラエル側が強硬な対応に出れば、双方の応酬が激化する恐れもある。

 イランの攻撃のきっかけとなったのは今月1日、シリアのイラン大使館がイスラエルによるとみられる空爆を受け、イランの精鋭部隊・革命防衛隊の准将ら7人が死亡した事件だった。

 イランではこれまでもイスラエルの関与が取りざたされる軍人の暗殺などが起きてきたが、外交施設を攻撃されたのは初めてだった。「大使館はその国の領土とみなされる」として、ハメネイ最高指導者は報復を宣言した。

 ただ、イスラエルは「中東最強」とも言われる強大な軍事力を誇り、事実上の核兵器保有国でもある。さらに、イスラエルとの直接衝突に至れば、後ろ盾の米国が乗り出してくる恐れもある。イスラエルとの全面戦争は、イランにとってあまりにリスクが高い。

 一方、報復と言えるだけの措…

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    鈴木一人
    (東京大学大学院教授・地経学研究所長)
    2024年4月16日10時39分 投稿
    【解説】

    イランの対応が抑制的であったというのはその通り。イランはイスラエルが反撃しにくいような状況を作って、イスラエルの行動に様々な選択肢を与えることで、その出方を見ることを想定した攻撃をしたと考えられる。ただ、足の遅いドローンや巡航ミサイルはアイ

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