「音速の貴公子」事故死から30年、母国ブラジルで生きるセナの遺産

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サンパウロ=軽部理人
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 日本でも「音速の貴公子」と呼ばれて親しまれたF1レーサーのアイルトン・セナ。1994年、34歳の若さでレース中に事故死してから、5月1日で30年が経った。圧倒的な実力を誇り、世界中で人気を集めたセナの遺産は、生誕地ブラジルで今も受け継がれている。

30年前の事故「国民全員が悲しみ」

 サンパウロ中心部から車で30分のモルンビ地区に、緑の芝生が広がる。花束がひときわ多く置かれた墓地の一角に、セナの眠る場所があった。碑銘には「神の愛から私たちを引き離すことはできない」と聖書の一節が刻まれていた。

【関連】「人懐っこくて家族思い」 事故死から30年、めいが見たセナの素顔

F1界で絶大な人気を誇り、34歳の若さで事故死したセナ。家族にはどのような素顔を見せていたのか。セナのめい、ビアンカ・セナさん(44)が取材に応じました。

 「アイルトンがいない30年は、私にとってただただ空白だった」。墓前で祈りを捧げていたマリア・シケイラさん(60)はそう語る。この30年間、週1回の墓参りを欠かしたことがないという。

 1980年代後半から、F1…

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    中川文如
    (朝日新聞スポーツ部次長)
    2024年5月1日18時0分 投稿
    【視点】

    「30年前。日本も元気だった時代ですよね」。このルポの社内輪読に参加して、そんな同僚の感想を耳にしました。セナさんが生きた時代、インターネットやSNSの革命前夜でした。今風に言えば、拡散のトレンドはテレビでした。そのテレビの日本の地上波のゴ

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