「不適切にもほどがある」人たちとの対話術 必要なのは「政治」

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聞き手・石川智也
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 宮藤官九郎さんが脚本を手がけたドラマ「不適切にもほどがある!」が、絶賛と反発が交錯するなか完結した。昭和と令和を行き来する主人公が両者の「常識」の溝を埋める物語は、現代のコンプライアンスやポリティカル・コレクトネスをめぐる対立も浮き彫りにした。「不適切」という規範意識は、「正しさ」への当然の配慮なのか、時代の大勢への「萎縮」なのか。溝と対立の解消を図るのが政治という営みだ、と説いてきた政治学者の岡田憲治さんに聞いた。

 コンプライアンスやポリティカル・コレクトネス(PC)、ハラスメントへの意識が皆無の昭和のオジサンが、それらに「縛られた」令和人を「不適切」な極論で一刀両断する。そんなドラマの内容に、現代の規範や「正しさ」の行き過ぎを窮屈に感じてきた人は、留飲を下げたでしょう。でも、それは間違ったカタルシスです。

 その規範が本当に「適切」で…

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    綿野恵太
    (文筆家)
    2024年4月20日16時20分 投稿
    【視点】

     本当にこの記事のおっしゃる通りだと思いますが、ただ、最近の言論を見ていると、事態はもっと深刻で、対話や議論それ自体が、「ハラスメント」とみなされる風潮が強まっている気がします。 議論や対話において、相手の主張を否定したり、反論したりする

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    中川文如
    (朝日新聞スポーツ部次長)
    2024年4月19日6時30分 投稿
    【視点】

    「知の巨人」と呼ばれた鶴見俊輔さんは2015年7月20日に亡くなりました。当時の朝日新聞の追悼記事をひもとくと、鶴見さんのこんな語録が紹介されています。 「政治にとって最も大事なことは、恥じらいをいかに堅持するかです。おそらく、宗教の核心

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