第3回ちょっとそこまで、がコンセプト 「超小型モビリティ」は普及するか

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 「くっすん」と呼ばれるリーダーがかまえるガレージに、かつての「ポラロイドカメラ」に着想を得たデザインの車体が2台。

 黄色のコンセプト車に続く試作車が1月、「KGモーターズ」(広島県東広島市)の作業スペースに運びこまれた。来年の正式発売と量産化を見据え、改良を進める。

 いま「ミニマムモビリティ」と呼んでいるこの車は幅113センチで、売れ筋の軽自動車と比べて34センチほど細い。最高速度は60キロ。家庭用コンセント5時間の充電で約100キロ走らせることを想定しており、エアコンも備える。

 国土交通省が「自動車よりコンパクトで小回りが利き、地域の手軽な移動の足になる1~2人乗り程度の車両」などと定義する「超小型モビリティ」と呼ばれるタイプの車だ。

 この車は中でも第一種原動機付自転車、いわゆる「ミニカー」に該当する。ミニカーの定員は1人。同社は1人乗りに割り切って開発を進める。

 「『ちょい乗り』に最適な超小型EV(電気自動車)をつくりたい」と、最高経営責任者(CEO)の楠一成さん(41)らが2022年に会社を立ち上げた。「くっすんガレージ」、略して「KG」。楠さんの小学生以来のニックネームにちなんだ。

 楠さんは、広島県呉市の坂道の多い地域で育った。

 道路が狭いあまり、軽自動車ですらサイドミラーを畳むなどして、ぎりぎり行き交う姿をたびたび目にした。「もっと小さい車があればいいのになあ」と思っていた。

「もっと小さい車があれば」

 車が好きで、高校卒業後は専門学校に進み自動車整備士の資格をとった。いったん就職して1年半後、自動車整備や中古車販売などを手がける会社を起こした。

 「自分で車をつくりたい」と…

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