退職届提出した川勝知事が会見 「リニア推進派から外れたことない」

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 職業差別と受け取られかねない発言が批判された静岡県川勝平太知事(75)が10日午前に退職届を県議会議長に提出し、午後2時から県庁で会見を開いた。会見で知事は退職届を提出した理由について問われ、「私の発言で県民の皆さまにご迷惑をかけたので、なるべく早く、県政の空白を短くするということで提出した」と述べた。

 退職届を出す際に、関ケ原の戦いの前に命を落とした細川ガラシャの辞世の句「散りぬべき時知りてこそ世の中の花も花なれ人も人なれ」が口をついて出たことを説明した。この句は「花は散る時期を知っているからこそ美しい。人もそうありたいものだ」という心情を表現したものとされる。

 リニア中央新幹線の事業計画で静岡工区での工事着工を認めていない川勝氏。会見では「リニア推進派から外れたことはない。推進(の立場)に変わりない。ただ、南アルプス(の環境保全)と両立しないといけない」と自身の考えを改めて説明。その上でリニアと環境保全をめぐる問題が「一区切りした」ことも辞職の理由として挙げた。具体的には、監督官庁の国土交通省が(財界出身の)矢野弘典氏を座長に、環境保全策の監視などを目的する有識者によるモニタリング会議を設置したことやJR東海が2027年の開業目標を見直したことに触れ、「モニタリングと事業計画は一体。(静岡工区のトンネル)工事に10年かかることがわかり、一つのめどがみえたと思った」と述べた。

 その上で「(JR、県幹部らでつくる)ハイレベル会議ができるなど、僕の役割は終わった。矢野さんに任せられる」と説明。「南アルプスの現状を守るために粉骨砕身、全力で取り組んできたつもりだ。しっかりとモニタリングする道筋が見えた。矢野さんに任せられる、バトンタッチできると思った」と述べた。

 矢野氏と辞意表明する直前の2日午後に面談した際のエピソードとして「ハイレベル会議に『わたしは出るんですか』と尋ねると、『出なくていい』といわれ、『お任せします』と答えた」と明かし、「僕の手を離れた」とも語った。

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    岩尾真宏
    (朝日新聞名古屋報道センター長代理)
    2024年4月10日18時30分 投稿
    【視点】

    川勝平太知事は、職業差別と受け取られかねない発言が批判されたことで辞職に追い込まれたはずです。川勝氏は3日の記者会見で辞職を決めた経緯について説明した際、リニア中央新幹線をめぐる問題を最大の理由に挙げ、「大きな区切りを迎えた」と述べています

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