「買うアート」日本に根付くか 市場まだ世界の1%、変容への試み

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編集委員・大西若人 神宮桃子 松沢奈々子
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 春の陽気にも誘われ、美術展大国である日本の各地で開かれている大型展は多くの人でにぎわう。こうした「見るアート」の隆盛の一方、日本では「買うアート」は盛り上がりに欠けると言われてきた。その状況を変えようと、官民双方が急ピッチで動いている。日本のアート市場、そしてアートは変容するのか。(編集委員・大西若人、神宮桃子、松沢奈々子)

 コレクターや美術ファンが、お目当ての作品を求めて各ブースを巡る。先月上旬に東京国際フォーラムで開かれた「アートフェア東京」には、招待日を含む4日間で前年並みの約5・5万人が訪れた。

 作品を展示販売するアートフェアとしては国内最大だが、156軒のギャラリーのうち、海外からの参加は7軒。世界のアート市場を熱くする現代美術系のギャラリーのみならず、工芸や古美術などのギャラリーが小ぶりなブースでぎっしり並ぶあたりは日本ならではともいえる。一方で例年、欧米の巨大フェアほどには高額の作品の売買はされないという。

30万円台から…全作品「買える」展覧会

 今も東京・六本木でマティス展、大阪・中之島でモネ展が盛況のように、日本は美術展熱で知られる。英美術専門紙「アートニュースペーパー」によると、コロナ禍前の2019年の展覧会で、1日あたりの入場者数の世界トップ10に「ムンク展」や「クリムト展」など日本の美術展が三つも名を連ねた。

 新たな動きも広がる。昨年…

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