夢二が彩る レトロ電車 岡電生誕140周年記念で新装

大野宏
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 岡山県出身の画家・竹久夢二(1884~1934)の生誕140周年を記念し、岡山電気軌道(岡山市中区)が夢二の美人画をあしらった電車を10年ぶりにリニューアルした。夢二作品がラッピングされ、乗降時に夢二作詞の「宵待草(よいまちぐさ)」のメロディーが流れるなど大正ロマンの雰囲気満載だ。9日から営業運行が始まる。

 車両は、東武鉄道栃木県日光市で運行するために1953(昭和28)年に製造されたもの。68年の廃線後に岡電が購入した。営業運行する路面電車としては国内最古級という。

 デザインは2004年、JR九州新幹線なども手がけた水戸岡鋭治さん(76)が岡山城をイメージした黒を基調に考案。「KURO」と命名された。その後、夢二生誕130周年の14年に改装され「KURO×夢二」となった。

 今回は同じ両備グループが運営する夢二郷土美術館(岡山市中区)所蔵の夢二作品41点を車内外にあしらった。窓に貼られたシールは、夢二がデザインしたステンドグラス風になっている。

 水戸岡さんは「夢二はアートを生活に取り入れたグラフィックデザイナーの大先輩。優しくて美しくてどこか寂しい夢二美人が大好きなので、顔が描かれた絵を多く使った」と説明する。

 市内の電停近くで育ったといい、「路面電車は生活の一部だった。この電車にも間違いなく乗ってるんだろうねえ」。天井の照明などは昔のままで、冷房もなし。「SDGs(持続可能な開発目標)に配慮した電車だね」と笑う。

 8日は、岡電の小嶋光信社長や沿線の保育園の園児を乗せ、東山おかでんミュージアムと岡山駅前を往復。車内外に流す「宵待草」の演奏を担当したバイオリン奏者、大迫淳英さんが生演奏を披露した。

 9日からは東山線を1日4往復する。運行の問い合わせは、岡電電車事業部(086・272・1811)か公式サイト(https://okayama-kido.co.jp/tram/別ウインドウで開きます)へ。

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この記事を書いた人
大野宏
岡山総局|高校野球等担当
専門・関心分野
歴史・スポーツ