北海道新幹線の函館駅乗り入れ、整備費は最大186億円 函館市調査

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野田一郎 新田哲史
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 北海道新幹線のJR函館駅乗り入れの実現可能性を探る函館市は29日、コンサルタント会社に委託した調査結果を発表した。技術的に整備可能で、整備費は173億~186億円(税込み)と試算。札幌延伸と同じ2030年度末の営業開始を見込んだ。市は今後、JR北海道や国、道などと協議を進めるが、実現を疑問視する声も根強い。

 昨年4月の統一地方選で乗り入れに関する調査実施を公約に掲げた大泉潤市長が会見して発表した。

 調査の想定では、乗り入れ区間は札幌―函館と東京―函館で、現在の北海道側の終着駅・新函館北斗―函館間(17・9キロ)の在来線区間に、新幹線車両が乗り入れる。途中の五稜郭にも停車する。

 札幌―函館は直通乗り入れ、東京―函館は新函館北斗でスイッチバックして直通乗り入れ▽新函館北斗で一部車両を切り離し乗り入れ▽乗り入れなし――の別で検討。車両はフル規格とミニのそれぞれで試算した。

 新幹線のレール幅は在来線より広いため、レールを1本加えて他の列車と共用する「三線軌条」を採用。軌道改修や一部区間新設▽函館駅などのホーム改修▽運行管理システム改修なども整備費に盛り込んだ。

 新函館北斗―函館は札幌延伸後にJR北から経営分離されるため、線路などを第三セクター(新設)が所有することを想定。①鉄道事業の営業・運行主体と②所有主体を分ける「上下分離方式(①はJR北)」と「上下一体方式(①②とも三セク)」に分けて収支を検討。上下分離方式では三セクの30年累計の損益はプラス4億~19億円、上下一体方式ではマイナス102億円~プラス16億円(いずれも税抜き)とした。1両あたり5億円台とされる車両費は含まれていない。

 また、新函館北斗―函館の輸送密度(1日1キロあたりの平均利用者数)は最大1・3倍となり、経済波及効果も114億~141億円と見込んだ。

 大泉市長は財源について明言を避けたが、「函館駅乗り入れは市民の悲願で、可能性があるならば追求すべきだ。まずは市議会で議論してもらい、その結果を踏まえて関係機関と協議したい」と話した。(野田一郎)

実現性を疑問視

 JR北は、函館―新函館北斗の経営分離後のあり方は「道や沿線自治体が判断することになる」(綿貫泰之社長)との立場だ。

 仮に上下分離方式で函館乗り…

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