名取のセリ、「仙台せり」の名で地理的表示登録 県産品5件目

石橋英昭

 宮城県名取市と仙台市太白区の特産品セリが27日、「仙台せり」の名称で、農林水産省の地理的表示(GI)保護制度の対象に登録された。地域と結びついた産品として国が認め、ブランド名が保護される。県内に生産地がある産品では5例目だ。

 セリは、名取川の伏流水がわき出す湿地帯で、約400年前からつくられてきた。宮城は日本一のセリ生産県で、名取市が約8割を占め、隣の太白区でも少量生産している。

 セリ農家はどこも後継者難で、近年のせり鍋ブームもあって生産が追いつかなくなっていた。地域と結びついた産品として次世代に継承しようと、名取市が音頭をとり、5年前にGI登録を申請していた。

 この地域のセリは、緑鮮やかでシャキシャキした食感が特徴で、年末には東京の市場で高値がつく。知名度のある「仙台」を冠して首都圏で売られてきた経緯があり、「名取せり」ではなく「仙台せり」としてブランド化を進める。今回の登録で「GIマーク」を使えるようになり、模倣品は国が取り締まる。

 仙台せり振興協議会の大友仁一会長(71)は「今回の登録で自信をもって生産できるようになる。後継者不足の解消につなげたい」と話した。同協議会には名取市76人、仙台市6人の農家が入っている。名取市の山田司郎市長も「名取には仙台空港もあり、海外輸出も考えたい」とした。

 県産品では、みやぎサーモン(石巻市、女川町、南三陸町、気仙沼市)、岩出山凍り豆腐(大崎市岩出山)、河北せり(石巻市の旧河北町)、伊達のあんぽ柿(福島県伊達市などと白石市の一部)が、GIに登録されている…

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この記事を書いた人
石橋英昭
編集委員|仙台駐在
専門・関心分野
東日本大震災、在日外国人、戦争の記憶