山陰線長門市―小串の復旧、25年度中見込み 2区間で先行運転再開

向井光真 白石昌幸
[PR]

 昨夏の大雨で被災し、一部区間で運休が続くJR山陰線について、JR西日本は27日、2025年度中に復旧し運転再開できる見込みだと明らかにした。まず長門市―人丸間、滝部―小串間で、今年6~7月ごろに運転を再開。橋脚が傾いた粟野川橋梁(きょうりょう)を含む人丸―滝部間の復旧工事は25年度中に完了させ、運転再開させたいとしている。

 広岡研二・中国統括本部副本部長が、山口市内での定例記者会見でこの方針を説明した。

 JR西によると、山陰線の長門市―小串間の約50キロで、線路への土砂流入など計69カ所で被災。被災の程度が最も大きかったのが粟野川橋梁で、橋脚5基のうち1基が下流側に1.4メートル傾いた。

 広岡副本部長は、粟野川橋梁で、水量が多い春~秋を含む通年工事をすることについて、河川管理者の県との協議で「方向性に理解頂き、メドが立った」として、手続きなどが済み次第、早急に工事に着手すると表明した。橋脚1基の改築や橋桁修復などを実施。順調に進めば、着工から約1年半後に工事が完了し、人丸―滝部間で運転が再開できるよう目指すという。

 また、沿線住民が優先的な再開を下関市に要望していた滝部―小串間と、長門市―人丸間については、今月にも復旧工事に着手。線路内に流入した土砂の撤去や盛り土などの復旧などを進め、約3カ月後の6月下旬~7月上旬ごろに運転を再開できる見込みという。

 一方で広岡副本部長は「被災した山陰線の当該区間は、被災前から利用が少ない線区。鉄道としての持続可能性の確保などを沿線の自治体の方々と議論させて頂きたい」と強調した。大雨で被災し全線で運休が続く美祢線の復旧については言及しなかった。

 山陰線の復旧方針について、下関市の前田晋太郎市長は「全線復旧の目途が立ったことについて安堵(あんど)している。(先行する)部分運行の再開については、沿線住民や利用者の不安解消につながるものと思っている」。長門市の江原達也市長は「ひとまず安堵した。大きな不安や影響が生じていた地元住民にとって、早期完全復旧に向けた大きな第一歩と受け止めている」とコメントした。(向井光真、白石昌幸)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません